血圧の知識

血圧とは血液が血管の壁に及ぼす圧力のことです。

高血圧の基礎知識として、まず血圧について理解しておきましょう。

1.血圧のメカニズム

血圧とは、心臓から全身に送り出される血液が、血管(動脈)の内側に与える圧力のことで、上の血圧(最高血圧、収縮期血圧)と下の血圧(最低血圧、拡張期血圧)があります。

心臓というポンプは、収縮と拡張を繰り返しながら、血液を血管の中に送り出します。
その時、血管の内側の壁には圧力がかかり、その圧力は心臓が収縮して最も多量の血液が送り出される時に最も強くなり、これを「収縮期血圧」と呼びます。
反対に、心臓が収縮した状態から元の大きさに戻って、血液が心臓の中に呼び込まれる時、血管の内側の壁にかかる圧力は最も低くなり、これが「拡張期血圧」です。

血圧の値は血液の量や血管の太さで変わります。

血液の量が多い人は、収縮期血圧も拡張期血圧も高くなりますし、季節によって値が変わります。
冬は寒さで血管が縮んで細くなりがちになるため、血圧は夏より高くなるというわけです。
さらに、昼と夜、安静時と運動中、リラックスしている時とイライラしている時など気分によっても、血圧は変動します。
また、血圧を測る時の姿勢や場所によっても値は変わってきます。
一般に「血圧」と言う時は、心臓と同じ高さ、つまり上腕の動脈の血圧を指します。重力の違いで、心臓より上の血圧は心臓と同じ高さより低くなり、心臓より下になると高くなります。

2.血圧の値

血圧の値の単位は「mmHg」です。
その由来は、血圧計が水銀柱式で血圧を空気圧として測り、その空気圧を水銀(Hg)の柱のmm単位の長さで読み取っていることにあります。
空気を抜きながら、動脈を流れる血液の雑音が最初に聞こえ始めた時の水銀柱の長さが「収縮期血圧」で、「拡張期血圧」は雑音が聞こえなくなった時の長さです。

一般的に血圧の正常値は、収縮期血圧が「140mmHg未満」で、拡張期血圧が「90mmHg未満」となっています。
この値は、昼間の安静時に、病院の診察室で測定した場合の成人の血圧で、夏冬は関係なしとされています。



収縮期血圧と拡張期血圧の両方が正常値を超えた場合はもちろん高血圧ですが、どちらか一方が超えても、高血圧と診断されます。
ただし、運動中や入浴中、階段を駆け上がった直後など一時的に血圧が高くなった状態は高血圧とは呼びません。
つまり、いつ測っても常に血圧が正常よりも高い、慢性的に高い値になっている状態が高血圧なのです。

なお、家で自分で測った場合の正常値は、収縮期血圧が135mmHg未満、拡張期血圧が85mmHg未満と、診察室で測るよりも5mmHgずつ低くなります。
これはよく言われるように、白衣を着ている人(医者や看護婦さん)の前では緊張して血圧が高くなる、いわゆる「白衣高血圧」というのがあって、病院以外で測ると、どちらも低く出る傾向があるからです。

3.血圧が上がる理由

健康な人でも血圧は、季節や時間帯、そのときの気分やしている事によって大きく上がり下がりします。身体はその時々の必要に応じて、血圧を高くしたり低くしたり自動で調整するようにできているからです。
これは、高血圧の人でも同じですが、正常な人と違うのは、上がり下がりする血圧の値の範囲が正常値より上にあるということです。

血圧が高くなる理由は2つあります。
一つは、血液の量が何らかの理由で増えてしまった時です。血液量が増えると、血管はパンパンに張り詰めた状態になり血圧は高くなります。
二つ目は、血管がどこかで外から押さえつけられたり、血管内に何かが詰まり気味になったりして、血液の流れ道が細くなった時です。そうなると、血液量が増えていなくても血圧は高くなります。

血圧が正常な人では、一時的に血液量が増えても短時間で元の量まで減り、血液の流れ道が細くなっでも短時間で元の十分な太さにまで戻ります。
しかし高血圧の人は同じような状態が頻繁に起きるようになり、そのうちそれが持続されて血圧がいつまでも低くならなくなるのです。

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高血圧症をチェック

高血圧症は血管が収縮して破綻する病気です。

【主な原因】
遺伝的素因、肥満、塩分のとりすぎ、
飲酒、喫煙、運動不足など。

【チェックポイント】


日本高血圧学会の「高血圧治療ガイドライン」では、血圧の基準値を細かく分けています。

基準値といえるのは、至適血圧の収縮期血圧(最高血圧) 120mmHg未満、拡張期血圧(最低血圧)80mmHg未満です。
正常血圧・正常高値血圧というのは、高血圧の一歩手前で注意が必要なレベルという意味で、いわゆるグレーゾーン(予備軍)です。

正常高値を超えると、治療の必要な高血圧になります。

高血圧にも「I度(軽症)・U度(中等症)・V度(重症)」の3段階のレベルがあります。

なお、(孤立性)収縮期高血圧は、収縮期血圧だけがとくに高い状態をいい、動脈硬化の進んだ高齢者に多くみられます。

近年、さまざまな調査や研究から血圧が高くなるほど、虚血性心疾患(脳卒中)のリスクが高まることが明確になってきています。

たとえば、至適血圧の人のリスクを1とすると、正常高値の大で約1.7倍、I〜U度の高血圧の人で約3.3倍、V度の高血圧の人は約8.5倍と、血圧水準が高くなるにつれてリスクも急上昇します。

自分の血圧が基準値範囲だと、安心しがちですが、実際には基準値範囲でも、脳卒中を起こす例は少なくありません。
とにかく血圧は油断できません。

目立った症状がないが、致命的事態をまねくサイレントキラー

現在、高血圧患者数は推定4000万人、そのうち治療を受けている人は1/4しかいません。
半分以上の人は未治療だとされています。

高血圧では、頭痛、めまい、耳鳴り、肩こり、手足のしびれなどの軽い体調不良がみられますが、休養をとることである程度緩和されます。

基本的に目立った自覚症状がないため、軽視されがちです。

しかし、血圧が高い状態が続いていると、体の中では変化が起きはじめているのです。

血圧とは、血液の流れによって、動脈壁(血管の壁)にかかる圧力のことです。

私たちの心臓は、“ポンプ”のように収縮と拡張を繰り返し、毎分4〜5Lもの血液を全身に送り続けています。
心臓が収縮すると大量の血液が送りだされ、血管に大きな圧力がかかります。
これが収縮期血圧(最高血圧)です。

逆に、心臓が拡張すると血液の流れは緩やかになり、血管にかかる圧力も低下します。
これが拡張期血圧(最低血圧)になります。

常に血管に強い圧力がかかっていると、動脈壁がぼろぼろに傷んでいきます。
それを長年放置していると、気づいたときは「動脈硬化」が進行しているのです。

動脈硬化は、虚血性心疾患や脳血管疾患につながる引き金となります。
ある日突然発作を起こし、最悪の場合には死に至ることも少なくありません。
そのため、高血圧ぱ「サイレントキラー」(静かなる殺人者)とも呼ばれています。

血圧は自分で測って管理しよう!

高血圧を予防するためには、とにもかくも血圧を測定することです。

今、注目されているのが、家庭で測って管理する“家庭血圧”です。

自宅で測ると血圧は正常なのに、病院で白衣を着た医師や看護師に測定してもらうと、緊張して最高血圧も最低血圧も高くなることが少なくありません。

これは「白衣高血圧症」と呼ばれるものです。

逆に、病院では正常なのに、家庭血圧が高いという「仮面高血圧」もあります。
 
そもそも血圧は、環境や時間帯などで変動しやすいものですが、各自が家庭でリラックスしているときに測るほうが正しい血圧が測れる、と考えられるようになったのです。

家庭用の自動血圧計が、正確になったうえに手ごろな値段で買えるようになったことも、家庭血圧が重要視される一因でしょう。

藤城式食事法


 

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