高血圧と薬(降圧剤)

高血圧と薬との関係

高血圧と薬との関係については、WHOの1962年のガイドラインが1つの参考になるでしょう。

・Stage1…血圧が高いだけの状態ではまったくいらないどころか使ってはいけない
・Stage2…血管や心臓の肥大状態でも一時的になら使ってよいが、その症状が治ればもちろんすぐにやめるべきである
そして使い続けてよいのは、Stage3…心臓や呼吸の機能低下状態である

ということが明確に示されています。

血圧が高いからといってすぐに薬を使うのではなく、まずその原因を特定して根本的な治療をするべきであるというのです。
血圧が高いことで症状、生活上の機能低下が起こっていたら、血圧を下げるために薬を使うのだ、ということなのです。

すなわち、高血圧を予防するために薬が使われることがあってはならない。
これが当時のWHOガイドラインの基本的な考えです。

このガイドラインは世界や日本で長らく使われていて、1999年までの37年間に亘り有効でした。

ところが、1999年にWHOが改定したガイドラインは、製薬会社の影響を受けて基準値が大きく引き下げられました。

日本でも、2000年以前の高血圧の基準値では、「上(収縮期血圧)は160以上、下(拡張期血圧)は95以上」だったのに、日本高血圧学会は「上は130以上、下は85以上」に引き下げました。
これにより、2000年以降は『上が130以上で160未満』の人たちが高血圧患者にされ、新たに降圧剤を飲むことになったのです。

もちろん、まったく降圧剤が不要であるということではありません。
心肥大など臓器の形態変形や、心不全や呼吸不全などの機能障害があり、それらの原因が高血圧であることがはっきりわかれば、当然一時的に血圧を下げる必要がありますから、降圧剤は正しい選択となります。

ただ、自覚症状もないのに「高血圧なので治療をしましょう」と言われて薬を飲まされる人があまりに多いのです。
それに、血圧を薬で130まで下げるとむしろ、脳卒中などのリスクが高まるとも言われています。

降圧剤は高血圧による肥大や機能低下を緩和するために作られたのですが、製薬企業としてはそれだけでは対象者が少ないので、血圧の診断基準を下げて、より多くの人を高血圧にしてしまおうと画策し、みごとに売り上げを伸ばしてきたのです。

当時は、製薬会社が降圧剤の売上げを伸ばす戦略として、臨床学会や医師へ利益供与して「薬を売るために病気を作る」ことをビジネスモデルとしていて、「高血圧マフィア」と呼ばれていました。

その後、世界的に批判が巻き起こり、改革の機運が高まり、米国では2010年医療保険改革法のなかにサンシャイン条項が盛り込まれました。
そして、欧米では2013年から、法整備の効果もあってガイドラインの改革が行われたのです。
この結果、長らく上位を占めていた降圧剤の薬剤売り上げランキングが軒並みかなり下がり、降圧剤ビジネスが成り立たなくなりつつあるのです。

それでも今の日本の医療現場では、依然として、単に血圧を下げる「だけ」のために、薬による治療が行われています。

⇒薬を飲まずに血圧を下げる方法

降圧剤の副作用

血圧を下げる薬の降圧剤には、命にかかわる副作用があると言われています。

高血圧で処方される降圧剤は主に以下の7種類に分けられます。
それぞれの副作用についてみてみましょう。

・カルシウム拮抗薬 (ジヒドロピリジン系/ベンゾチアゼピン系)
動悸、頭痛、ほてり感、浮腫み、歯肉増生、便秘など。

・アンギオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)
副作用は少ないが、妊婦や授乳婦は内服が禁止されている。
また、腎臓と肝臓で代謝・排泄されるので、重症肝障害や腎障害の場合には注意が必要。

・ACE阻害薬
服用した約2割の患者が空咳の症状が出るというデータがあり、特に若い女性に比較的多い。また血圧低下も見られている。

・利尿薬 (サイアザイド系/ループ利尿薬)
低カリウム血症を起こす危険性があり、低カリウム血症になると
筋力の低下、筋肉痛、痙攣、便秘、息切れ、けいれん、めまい、立ちくらみなどの症状が出てくる。

・β遮断薬
血糖や脂質の代謝に悪影響を及ぼす。
突然中止すると狭心症あるいは高血圧発作を生ずることがあるので、自己判断で服用を中止するのは危ない。

・α遮断薬
初めて内服する時に、起立性低血圧(急に立ち上がった時に起こる症状)によるめまい、動悸、失神がある。


このような副作用の他に、最近では、降圧剤を飲み続けることによって、ぼけ(認知症)や白内障や緑内障を引き起こすことが明らかになってきています。

⇒降圧剤を飲まずに血圧を下げる方法

 

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